4年生野嶋の戦い

  • 青山学院大学体育会バレーボール部OB・OG緑楯会青山学院大学体育会バレーボール部OB・OG緑楯会
  • 青山学院大学体育会バレーボール部OB・OG緑楯会青山学院大学体育会バレーボール部OB・OG緑楯会
  • 青山学院大学体育会バレーボール部OB・OG緑楯会青山学院大学体育会バレーボール部OB・OG緑楯会

4年生野嶋の戦い

2019.07.05 更新

Vリーグに大学選抜が初出場

青山学院大・野嶋華澄がつかんだ自信

バレーボール国内トップリーグのVリーグにこのほど、史上初めて大学選抜が出場した。2019年度V・サマーリーグの東部大会が7月5~7日、秩父宮記念体育館(神奈川)で開催され、関東大学1部リーグを中心に、東北、東海、関西大学リーグから集った18人の選手が挑んだ。「この機会を楽しみにしていた」と青山学院大の副将・野嶋華澄(4年、八王子実践)も並々ならぬ意気込みをのぞかせていた。

大学選抜チームで新たな発見も

V・サマーリーグは本来、Vリーグに所属する若手選手が経験を積むことを主な目的とした大会だ。強化が必要なのは大学生も同じ。そこで全日本大学バレーボール連盟の高野和弘理事長が中心となり、大学選抜の出場を打診。互いにとって貴重な機会になるとVリーグ機構も快諾し、大学選抜の出場が実現した。

Vリーグと大学、戦う場所は違うものの、高校時代に対戦経験のある同年代の選手も多い。さらに大学生にとっては、普段はライバルとして戦う選手とチームメイトになることで、新たな発見がある。野嶋は言う。

「それぞれのチームによって練習の仕方も違います。でもそれをマイナスに考えるのではなくプラスにして、いいところを寄せ集めると自分の引き出しも増えます。セッターとコンビを合わせるだけでも、いろんな楽しみがありました」

普段ならばセッターの後方へ走ってブロード攻撃に転ずる場面でも、少しパターンを変え、セッターの前からAクイックやBクイックに入るシーンもあった。選抜チームの練習期間や時間は限られていたが、野嶋は「(コンビは)お互い『いくぞ! 』と気合いで合わせた」と笑う。それでもチャレンジしてみると意外とうまくいくことも多く、高い打点から放つスパイクやブロックが何本も決まった。

勝利を目指すもまずはシンプルに「楽しむ」ことを掲げ、大学選抜は予選グループリーグでKUROBEアクアフェアリーズを打破。当初はVリーグのチーム目当てで訪れた観客からも、多くの拍手と声援が送られた。しかしPFUブルーキャッツに敗れ、得点率で予選グループリーグ2位に。結果、大学選抜は7位に終わった。目指していた表彰台には届かなかったが、Vリーグのトップで戦うチームに対しても十分通用したことが野嶋の自信になった。

                                       大学で人間性を高め、勉強もバレーも一生懸命

八王子実践高在学時から年代別の日本代表候補に選出されるなど、野嶋は高校時代から一目置かれる選手だった。高校からすぐにVリーグへ、という選択肢もなかったわけではない。しかし将来を見据えた上で、大学へ経験した方が自分にとってはプラスになると考え、迷わず青学大に進んだ。

「バレーのスキルを磨くには、Vリーグで経験を積んだ方がいいのかもしれません。でもバレーはもちろんですけど、それを生かすための人間性を高めるに大学で学びたかったし、バレーだけじゃなく社会に出るための必要な要素を身につけたかった。自分で決めた選択は間違ってなかったと思う。勉強もバレーも一生懸命やる。大学生だからこそのプライドがあります」

V・サマーリーグでは八王子実践高ではチームメイトだった、リベロの森田茉莉(日本女子体育大4年)とも、久しぶりに同じコートでプレーした。日女体大は今春の関東大学春季リーグを制し、森田はサーブレシーブ賞とリベロ賞を受賞。しかし6月の東日本インカレを制したのは、野嶋擁する青学大だった。春季リーグでは7位に沈んだ青学大が、短期間でなぜこれほどの成長を遂げたのか。森田は今回のV・サマーリーグで野嶋とプレーし、練習を重ねたことでその理由が分かったと明かす。

「(東日本インカレの)試合を見てて、『青学はよくレシーブを上げるな』と思ってたんです。それを何気なく(野嶋に)聞いたら、『そういえば春季リーグが終わってから、レシーブ練習をひたすらやったよ』って。やればやっただけ力がつくんだな、と改めて思ったし、今度は私たちが勝つためにもっと練習しなきゃ、と刺激をもらいました」

来る秋季リーグ、そして12月の全日本インカレ、さらにその先へ広がる未来を見据え、野嶋が言った。

大学の4年間でこれだけ成長できたと示すためにも、まずは大学のタイトルをとること。そして東京の次、2024年のパリオリンピックを目指して頑張ります」

充実感を示すように、野嶋の笑顔が輝いた。

田中夕子=「4Years」より2019年7月24日、YAHOOニュース配信=

 

コンテンツ

ページトップ