パリ五輪のOG2人、明暗分ける
2024.08.07 更新
笑顔の長谷川さんエッフェル塔に映える
8強逸した小島さん、悔しさ心に米プロへ
パリオリンピック代表の本学女子バレーボール部OG、ビーチの長谷川暁子さん(2008年卒)とリベロの小島満菜美さん(2017年卒)。二人にとって初めての五輪代表でしたが、明暗を分けました。長谷川さんは24年ぶりにベスト16進出を果たしましたが、小島さんは予選リーグで1勝2敗となりセット率でベスト8(決勝トーナメント)へ進めませんでした。全体の順位は共に9位で単純比較はできませんが、ビーチバレーボールに新しい歴史を刻んだ長谷川さんに喝采を。とは言え、初めて“未知の大舞台”で戦ったOG二人に惜しみない拍手を送りましょう!(新聞各紙の記事を参照して作成)
決勝トーナメント1回戦で敗れましたが、エッフェル塔を背に笑顔の長谷川さん(左)と石井さん
敗れても価値ある決勝T進出
明のビーチバレーボールの長谷川さん(NTTコムウェア)。石井美樹さん(湘南RIGASSOビーチバレーボールクラブ)とのペアで女子日本代表ではオリンピックで24年ぶり
にベスト16進出を果たしました。決勝トーナメント1回戦(Round of 16)は現地8月5日、アナパトリシア・シウバラモス/エドゥアルダ・サントスリスボア組(ブラジル)=1次リーグ戦で敗れたペアと異なる=と対戦しましたが、0-2で敗れて、準々決勝進出はなりませんでした。ブラジルペアは決勝戦でカナダペアを2(26-24、12-21、15-10)1で破って優勝しました。
▽パリオリンピック2024ビーチバレーボール女子 決勝トーナメント1回戦(8月5日・エッフェル塔)
長谷川暁子(NTTコムウエア)石井美樹(湘南RIGASSOク)組 0(15-21、16-21)2 アナパトリシア・シウバラモス/エドゥアルダ・サントスリスボア組(ブラジル)
長谷川/石井組(FIVB世界ランキング33位)は、ベスト8進出を懸けて予選プールを3戦全勝の失セット0で勝ち上がった世界ランキング1位のブラジルペアに挑みました。
第1セット、序盤は競り合う展開となりますが、連続失点を重ねて徐々に引き離されます。中盤に3連続得点を奪って点差を詰めますが、追いつけずセットを落としました。第2セットは序盤に4連続失点などで2-6と先行を許します。そのあとは互いに譲らずサイドアウトを取り合う展開となりますが、10-13から再び4連続失点を喫してリードを広げられます。それでも終盤に3連続得点を奪って反撃を試みるものの、逆転はかなわず敗れました。この結果、今大会の9位が確定。
ペア結成8か月、作り上げたものを出せた
〇…長谷川さん(38)は「私たちが作り上げたものを出せた方だと思う」と充実した表情を見せました。このペア、石井さん(34)が「人生をこの人(長谷川さん)になら託せる」と誘い、約8か月前に結成。アジア予選突破に貢献し、6年ぶりに事理委で出場権を獲得しました。二人とも万能で息の合ったプレーは五輪16強として十分通用しました。
意義あった1次リーグの1勝
1次リーグ戦を1勝2敗で終えた長谷川/石井組は、現地8月3日にラッキールーザーラウンド(敗者復活戦)でレザナ・プラシェット/アレクシア・リシャール組(フランス)と対戦。2-0で勝利し、決勝トーナメント1回戦(Round of 16)に勝ち進みました。1次リーグ戦が設けられた2004年アテネ五輪以降、日本女子初の決勝トーナメンㇳ進出です。
▽パリオリンピック2024ビーチバレーボール女子決勝トーナメント進出決定戦(8月3日・エッフェル塔)
長谷川暁子(NTTコムウエア)/石井美樹(湘南RIGASSOク)組2(21-15,21-18)0プラセット/リシャール組(プランス)
1次リーグE組3位で敗者復活戦に回った長谷川/石井組(FIVB世界ラング33位)は、F組3位だったフランスのレザナ・プラシェット/アレクシア・リシャール(同24位)と対戦。第1セットは序盤に3連続得点で先行すると、7-5から4連続得点でリードを広げ、終盤にも4連続得点でセットを奪いました。第2セットはフランスに先行を許すが、5-7から3連続得点で逆転。フランスに10-11と再度逆転されたものの11-12から再びリードして2セットを連取し、決勝トーナメントへの切符を手にしました。女子日本代表のベスト16進出は、2000年シドニー大会の高橋有紀子/佐伯美香組以来24年ぶりです。
◇長谷川・石井組の今大会全成績
[女子]▽決勝トーナメント1回戦
0(15-21、16-21)2ブラジルペア
▽決勝トーナメント進出決定戦
2(21-15、21-18)0フランスペア
▽1次リーグ戦B組(エッフェル塔)
0(16-21、14-21)2 オランダペア
=7月28日=
0(12-21、14-21)2 ブラジルペア
=7月30日=
2(21-11、21- 5)0 リトアニアペア
=8月2日=
ケニア戦後、今大会で引退をする古賀主将(中央)の涙に、声を掛けて励ますチームメート(背中姿の8はNECのチームメートでもある小島さん)
男女通じリベロ2名は日本女子だけ
守り勝負も空し、予選敗退の9位
暗はリベロの小島満菜美さん(NECレッドロケッツ)。1次リーグB組を1勝2敗の3位で
終えた世界ランク7位の日本は2大会連続1次リーグで敗退しました。4日に行われたA組の
米国―フランス戦で“フランスが3-0で勝てば…”一縷の望みを託していましたが、米国が第1セットを取った時点で敗退が決まりました。順位は①勝ち数、②勝ち点、③セット率、④得点率の順で決まりますが、セット率で日本が米国を上回れず、敗退しました(注)。総合順位は12チーム中9位。東京大会に続いて2大会連続で決勝トーナメント進出は成りませんでした。
今回の女子日本代表は、男女の代表24か国の中で唯一、リベロ2名を入れたチーム編成が注目されました。その一人の小島さんはサーブレシーブ、もう一人の福留慧美(デンソーエアリービーズ)はディグ(スパイクレシーブ)を担っての選出でしたが、3試合での敗退。小島さんにとって初めてのオリンピックは持てる力を十分に発揮できないで終わりました。
守備専門のリベロは、身長の低い選手でもオリンピックに参加できるようにと、2000年のシドニー五輪から採用。ただ1チーム12名という選手枠は変わらず、参加国としては守備専用2名の決断は戦術を含め特段の決断が求められます。2021年東京五輪では福留だけで挑んだ真鍋政義監督が今大会、敢えて取ったリベロ2名には思惑と賭けに近い勇気があったはずですが…。
期待も強いものがありました。五輪直前のネーションズリーグでは2人リベロがチームを支え、小島さんはベストリベロ賞を、古賀主将はベストスコア賞を獲得する活躍で、パリ五輪への望みも大きくなり、目標のロンドン五輪の銅メダルが見えていただけに、無念の結果と言えます。
この大会を最後に主将の古賀紗理那さんは引退しますが、小島さんは来シーズンから米国のプロリーグ、「ソルトレーク」でプレーします。日本でまた勇姿が見られるのを楽しみにしています。
TEAM JAPANを糧に努力、成長を
小島満菜美さん「たくさんの応援本当にありがとうございました。自分たちの思い描く結果ではなかったですが、オリンピックと言う最高の舞台で、TEAM JAPANの一員として戦えたことは
今後の糧となり、力になります。この経験があってよかったと思えるよう、もっともっと成長し、
努力していきます。最後に私たちが競技するために、支えてくださったすべての方々に感謝申し上げます。本当にありがとうございました」
[女子]▽1次リーグ戦B組(パリ南アリーナ)
日本1(20-25、25-22、23-25、26-28)3ポーランド
=7月28日=
日本0(20-25、17-25、18-25)0ブラジル
=8月1日=
日本3(25-17、25-22、25-12)0ケニア
=8月3日=
▽準決勝戦(8月8日)
米国3-2ブラジル、イタリア3-0トルコ
▽決勝戦(8月11日)
イタリア3(25-18,25-20,25-17)0米国
(注)決勝Tには、A、B、C3組の各上位2チ-ムと各下位チームの内のセット率の上位2チームの8チームが進みます。日本の決勝Tを決める対象国がA組の米国だったのは、フランス戦以外の2試合がフルセット勝利とフルセット負けでポイントが稼げていなかったためです。
セルビア戦 3-2で2ポイント
中 国戦 2-3で1ポイント
日本は予選リーグ終了時点ではケニアからの3ポイントしか持っていなかったため、米国がフランスにストレートで負けた場合は日本とポイントで並び、セット率の争いとなる計算でした。もし、米国がフランスに0-3で敗れていた場合のセット率は0.625なので、日本のセット率0.666を下回り、予選敗退になっていたことになります。
結果は米国が3-0でフランスに勝ち、A組2位で決勝T進出。8強へセット率争いの2チームにA組のセルビアとC組のドミニカ共和国の2チームが決まりました。
以上